「形容詞+です」は誤用? すべては読者と依頼者と発言者のために
「形容詞+です」は誤用かどうかが度々話題になっています。
どのように思われるでしょうか?
個人的な意見は
- 話し言葉であれば「形容詞+です」は許容範囲
- 避けたほうがよい場面もある
まとめると「明らかな誤用ではないけれど場合によりけり」……かなりあいまいですね。
本文で詳しく説明します。
文章は奥が深く、常に変化するため、今回の内容が正解というわけではありません。
しかし、この件について考えてみると、ライターとして重要な内容が詰まっているように感じました。
目次
言葉は常に変化する
たとえば、平安時代の文章をスムーズに読める人は少ないでしょう。
ハンガーを衣紋掛けと呼ぶ人も減っています。
従来、誤用とされてきた言葉も誤って使用する人が増え、のちに誤用も容認されることもあありました。
このように言葉は常に変化しています。
「形容詞+です」は誤用か否かの議論が起こるのは、言葉の変化が影響しているようです。
これから書く内容も数年後には変わっている可能性があることもご了承ください。
これらを踏まえて、文化庁の資料を見てみます。
話し言葉の簡易な形として容認される
文化庁が公開している資料には、次のように書かれています。
対話の基調として「です・ます」体を原則的に採用し,「形容詞+です」の語法を認める。
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/01/bukai05/index.html
これまで久しく問題となっていた形容詞の結び方――たとえば,「大きいです」「小さいです」などは,平明・簡素な形として認めてよい。
文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 第1期国語審議会 | これからの敬語(建議)| 動作のことば/形容詞と「です」/あいさつ語/学校用語 (bunka.go.jp)
条件はついているものの、文化庁としては「認めてよい」としていますね。
つまり、明らかな誤用ではないようです。
ただし、これを読んで「文化庁が認めている! だから問題ない!」と思った方は少し注意が必要かもしれません。
会話の場面で簡易な表現としてであれば認めてもよいくらいのニュアンスです。
手放しでは認めているわけではありません。
ブログやTwitterのようにくだけた雰囲気で話し言葉が使われる場合は許容範囲かもしれません。私も使う可能性があります。一方、書き言葉が求められる、かしこまった場合はどうでしょうか。
本来、形容詞の終止形に助動詞は続かない
本来、形容詞の終止形に助動詞は続かないとされてきました。
これは「だ・である調」で考えるとわかりやすいと思います。
たとえば「青い空」について書く場合
- 空が青いだ
- 空が青いである
違和感があるのが伝わると思います。このようには書きませんよね。
前者は方言のよう、と申しましょうか。
形容詞と動詞の違いはあるものの、私はどうにもあるタイトルがちらつきます。
『俺ら東京さ行ぐだ』
余談はさておき、「空が青い」と書く方が多いでしょう。
「です・ます」は「だ・である」の敬語にあたるため、「空が青いだ」と書かない以上、「空が青いです」はおかしいというのが従来の考え方です。
したがって、かしこまった文章では「形容詞+です」は避けたほうがよさそうです。
執筆案件でNGが出る場面とその理由
私が記事を書く場合についても書いてみます。
私は「である調」で記事を書くことが多いため、「形容詞+です」が問題となった経験は少ないほうかもしれません。数少ない中でのお話になりますが「形容詞+です」を避けるように指定する媒体はありました。
比較的硬い雰囲気で文法に対して厳しい媒体だったため、全体から見ても少数派なのかもしれません。
文法に厳しい媒体の背景には文法に厳しい目を持つ読者がいるように思います。
「形容詞+です」は記事にふさわしくない、稚拙だといわれかねないのです。そうすると、依頼者や発言者に不利益を与えかねません。
今回の例とは少し異なりますが、明らかな誤用や誤字・脱字があった場合、誤って伝わる可能性があるだけでなく、「チェック(校正・校閲)が甘い=内容も精査されていないのではないか」とわれる可能性もあります。そのようなこともあり、文法には注意が必要なのです。
個人的には、「形容詞+です」は次第に容認される場面が増えそうな表現だと思っています。しかし、現時点では認めない媒体もあること、依頼者や発言者のために考慮が必要であることは、わかっていただけたでしょうか。
すべては読者と依頼者、発言者のために
細かいお話が多くなってしまいましたが、すべては読者と依頼者、発言者のことを考えられるかどうかが要だと思いました。
「形容詞+です」は明らかな誤用ではなくなりました。しかし、どのような場面でも認められるわけではありません。
親しみやすい表現が望まれる場面であれば「形容詞+です」を使うこともあると思います。
一方、かしこまった表現が望まれている場面では、そうはいかないこともあるでしょう。
記事にはふさわしくない、稚拙だと読者に思われてしまうのは避けたいところです。
このようなことに配慮できるかどうかもライターの腕の見せ所ではないでしょうか。
もっとも、実践するのはなかなか難しく、毎回いやな汗をかきながら記事を書いています。日々、精進ですね。


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